韓国人が難しい日本語|似ているようで全然違う!韓国人が間違えやすい日本語表現まとめ
韓国語と日本語は似ているからこそ難しい。漢字語の罠、敬語の違い、発音の壁など、韓国人が間違えやすい日本語表現を詳しく解説します。

韓国語と日本語は文法構造が似ていて、漢字語も多く共有しているため、「韓国人にとって日本語は簡単だ」とよく言われます。確かに、英語話者と比べれば習得しやすい面はあります。しかし、似ているからこそ陥る落とし穴が無数に存在するのも事実です。
私自身、韓国人として日本語を学ぶ中で、何度も「えっ、それ違うの?」と驚いた経験があります。今回は、韓国人が特に間違えやすい日本語表現を、カテゴリー別に詳しくご紹介します。日本語を学んでいる韓国人の方はもちろん、韓国人に日本語を教えている方にも参考になれば幸いです。
1. 漢字語の罠:同じ漢字なのに意味が違う「偽りの友達」
韓国語と日本語は漢字文化圏に属しているため、共通する漢字語が非常に多いです。「約束(약속)」「準備(준비)」「注意(주의)」など、そのまま通じる言葉もたくさんあります。しかし、同じ漢字を使いながら意味が全く異なる単語、いわゆる「偽りの友達(False Friends)」が韓国人学習者を最も混乱させます。
「勉強」と「공부」
日本語の「勉強」は韓国語の「공부(勉強)」とほぼ同じ意味ですが、日本語には「お勉強しますよ」という表現があります。これは値段を安くするという意味で使われますが、韓国人にはまず理解できません。商店街で「勉強しますよ!」と言われて、「ここで勉強するの?」と戸惑った韓国人の話は定番のエピソードです。
「丈夫」
韓国語の「장부(丈夫)」は「男らしい人、立派な男」という意味ですが、日本語の「丈夫」は「頑丈だ、健康だ」という意味です。「この鞄は丈夫です」と言われて「この鞄は男らしい?」と混乱する韓国人は少なくありません。
「愛人」
これは特に注意が必要です。韓国語の「애인(愛人)」は単に「恋人、パートナー」を意味する日常的な言葉ですが、日本語の「愛人」は不倫相手やいわゆる隠し恋人を指します。韓国人が日本人の前で堂々と「私の愛人が…」と話してしまうと、大変な誤解を招くことになります。
「高生」と「先生」
韓国語で「선생(先生)」は日本語と同様に教師や目上の人への敬称として使われますが、使用範囲が異なります。韓国では病院の受付で医者を「선생님」と呼ぶのはもちろん、食堂のおばさんに対しても「사장님(社長様)」と呼ぶ文化があります。日本語の「先生」は教師・医師・弁護士・政治家など、特定の職業に限定されるため、韓国人はつい使いすぎてしまう傾向があります。
「我慢」
韓国語にも「아만(我慢)」という言葉がありますが、ほとんど使われていません。日本語の「我慢する」に当たる韓国語は「참다」です。問題は「我慢」の使い方よりも、日本社会で「我慢」がどれほど重要視されているかを韓国人が理解するのに時間がかかることです。韓国人は比較的はっきり感情を表現する文化なので、「我慢しなさい」と言われると戸惑うことがあります。
2. 敬語の迷宮:韓国語にも敬語はあるけれど…
韓国語にも日本語と同様に複雑な敬語体系があります。むしろ韓国語の敬語の方が文法的に体系化されている面もあります。しかし、日本語の敬語は韓国語とは異なるルールで動いており、韓国人学習者を大いに悩ませます。
尊敬語と謙譲語の混同
韓国語の敬語は主に語尾の変化と「시(し)」の挿入で表現されるため、尊敬語と謙譲語の区別が日本語ほど明確ではありません。日本語では「いらっしゃる(尊敬語)」と「参る(謙譲語)」を明確に使い分けますが、韓国人はこの区別に苦労します。
例えば、自分の上司について社外の人に話すとき、韓国では上司に敬語を使うのが普通です。しかし日本語では、社外の人に対して自社の上司の行動を謙譲語で表現します。「部長はいらっしゃいません」ではなく「部長はおりません」と言わなければなりません。これは韓国人にとって非常に不自然に感じる表現です。韓国の文化では、たとえ社外の人の前であっても、自分の上司を低く表現することは失礼に当たるからです。
「です・ます」と「요체」の違い
韓国語の「요체(ヨ体)」は日本語の「です・ます調」に相当しますが、使用範囲が異なります。韓国語の「요체」は友達以外のほぼ全員に使える万能な丁寧表現ですが、日本語の「です・ます」はビジネスや初対面では当然として、かなり親しい関係でも使い続けることがあります。
逆に、韓国人は親しくなると急にタメ口に切り替える傾向がありますが、日本人は長い付き合いでも「です・ます」を維持する場合が多いです。韓国人学習者は「もう友達なのに、なぜまだ敬語?」と感じることがあります。
二重敬語の問題
韓国語では「말씀하셨습니다(おっしゃいました)」のように敬語を重ねるのが自然ですが、日本語では「おっしゃられました」は二重敬語として好ましくないとされます。韓国人はつい母語の感覚で敬語を過剰に重ねてしまいがちです。
3. 微妙なニュアンスの違い:直訳すると変になる表現
文法的には正しくても、ニュアンスがずれて不自然になる表現が多く存在します。これらは辞書では学べない、実践的な日本語力が試される部分です。
「大丈夫です」の多義性
日本語の「大丈夫です」は、肯定にも否定にも使われます。コンビニで「箸はご利用ですか?」と聞かれて「大丈夫です」と答えると、要るのか要らないのか分からないという場面があります。韓国語の「괜찮아요」も文脈によって肯定・否定両方の意味を持ちますが、使われる場面が微妙に異なるため、韓国人は「大丈夫です」の使い方に慣れるまで時間がかかります。
「ちょっと…」の断り表現
日本語で「ちょっと…」と言って言葉を濁すのは、やんわりとした断りの表現です。韓国語でも「좀…」と言うことはありますが、韓国人はもう少し直接的に断る傾向があります。日本人が「ちょっと難しいですね…」と言ったとき、韓国人は「少し難しいけど何とかなる」と解釈してしまうことがあります。実際には「できません」という意味なのですが。
「考えておきます」=断り
ビジネスシーンで日本人が「考えておきます」「検討します」と言った場合、多くの場合はやんわりとした断りを意味します。韓国語の「생각해 볼게요」は文字通り「考えてみます」の意味で使われることが多いため、韓国人は日本人の「検討します」を前向きな返事と勘違いしやすいです。
「すみません」の万能性
韓国語にも「죄송합니다(すみません)」はありますが、日本語の「すみません」ほど多目的には使いません。日本語の「すみません」は謝罪だけでなく、感謝、呼びかけ、お願いなど様々な場面で使われます。韓国人は「なぜ悪いことをしていないのにすみませんと言うの?」と不思議に感じることがあります。
4. 発音とイントネーション:似ているからこそ難しい
長音と短音
韓国語には日本語のような長音・短音の区別がほとんどありません。そのため「おばさん」と「おばあさん」、「ビル」と「ビール」の区別が非常に難しいです。韓国人にとってこれらは同じに聞こえがちで、発音する際も区別がつきにくいです。
「つ」の発音
韓国語には「つ」に相当する音がないため、多くの韓国人が「つ」を「す」や「ちゅ」と発音してしまいます。「つくえ(机)」が「すくえ」に、「つき(月)」が「ちゅき」になってしまうのは韓国人学習者の典型的な特徴です。
「ざ行」と「じゃ行」
韓国語には「ざ」と「じゃ」の区別がありません。韓国語の「ㅈ」は日本語の「ざ」と「じゃ」の中間のような音で、文脈によって使い分けることがないため、「全然(ぜんぜん)」を「じぇんじぇん」と発音したり、「地図(ちず)」を「ちじゅ」と発音してしまうことがあります。
アクセントの壁
日本語は高低アクセントの言語ですが、韓国語は基本的にアクセントによる意味の区別がありません(一部の方言を除く)。そのため「箸」と「橋」、「雨」と「飴」のようなアクセントの違いによる意味の区別は、韓国人にとって大きな壁です。
5. カタカナ語の落とし穴
同じ英語由来なのに違う表現
韓国語と日本語は共に多くの英語由来の外来語を使いますが、取り入れ方が異なります。韓国語では「핸드폰(ハンドフォン)」ですが日本語では「携帯」や「スマホ」、韓国語の「노트북(ノートブック)」は日本語では「ノートパソコン」です。
さらに厄介なのが、日本語独自の和製英語です。「サラリーマン」「OL」「ガソリンスタンド」「コンセント」など、英語でも韓国語でも通じない日本語独自の表現が多数あります。韓国人はこれらを英語だと思って覚えてしまい、英語の場面で使って通じないという二次的な問題も起こります。
カタカナ発音の独特さ
同じ英語の単語でも、日本語と韓国語では発音が大きく異なります。例えば「McDonald's」は韓国語では「맥도날드(メクドナルドゥ)」ですが、日本語では「マクドナルド」です。「coffee」は韓国語で「커피(コピ)」、日本語で「コーヒー」。韓国人が韓国式の発音でカタカナ語を言っても、日本人に通じないことがよくあります。
6. 文化的背景から来る表現の違い
「お疲れ様」と「수고하셨습니다」
韓国語の「수고하셨습니다」は日本語の「お疲れ様です」に最も近い表現ですが、使い方のルールが異なります。日本語では上司に「お疲れ様です」と言うのは問題ありませんが、韓国語では目上の人に「수고하셨습니다」と言うのは失礼に当たるという意見もあります(ただし、実際の使用では許容されることが多い)。
「いただきます」と「잘 먹겠습니다」
韓国語の「잘 먹겠습니다(よく食べます)」は日本語の「いただきます」に相当しますが、韓国語版は食事を作ってくれた人への感謝の意味が強く、一人で食事するときにはあまり言いません。日本語の「いただきます」は食材の命への感謝や、食事ができることへの感謝という意味合いが強いため、一人でも言います。この文化的な違いを知らないと、言葉の本質的な意味を理解できません。
曖昧な表現への対応
日本語は「空気を読む」文化と深く結びついています。韓国語も間接表現はありますが、日本語ほど曖昧ではありません。韓国人は日本語を学ぶ際、文法や語彙以上に、この「言わないことで伝える」コミュニケーション方法に適応する必要があります。
「結構です」が状況によって「十分です(肯定)」にも「要りません(否定)」にもなることや、「前向きに検討します」が実質的な断りであることなど、言葉の裏側にある真意を読み取る力が求められます。
まとめ:似ているからこそ奥が深い
韓国語と日本語は確かに似ています。文法構造が近く、漢字語も共有しているため、初級レベルでは比較的速く上達できます。しかし、中級・上級になるにつれて、「似ているがゆえの難しさ」が際立ってきます。
偽りの友達(False Friends)に騙されない語彙力、場面に応じた敬語の使い分け、言外の意味を汲み取る読解力、そして文化的背景への理解。これらを身につけてこそ、韓国人は真の意味で日本語を「使いこなせる」ようになるのだと思います。
日本語学習中の韓国人の皆さん、「似ているから簡単」だと油断せず、一つ一つの違いを楽しみながら学んでいきましょう。そして日本人の皆さんも、韓国人が日本語で苦労するポイントを知ることで、よりスムーズなコミュニケーションにつなげていただければ嬉しいです。